「(え・・・えっ・・・!?な、何が起きたの・・・!?)」
突然周囲の景色が様変わりし、困惑するリリナ。露わになった股間の前後を両手で隠しながら周囲をキョロキョロと見渡すが、前後左右どの方向を見ても、何もない真っ白な空間だ。街並みや群衆はどこに消えてしまったのだろうか。次に下を向いて自分の服装を確かめると、なんとブラウスが無くなっており、胸が丸見えとなっていた。 「え・・・きゃぁっ・・・!」 反射的に、お尻を隠していた手で胸を隠し、しゃがみ込むリリナ。焦って周りの地面を探すが、ブラウスも、先ほど抜け落ちたミニスカート生地付きバイブも、持っていたハンドバッグや買い物袋も、何も見当たらない。しかし不思議なことに、乳首とクリトリスに装着されたリングだけはそのままで、相変わらず微弱な刺激を与えてきている。 何も無い静かな空間の中で、"ビビッ、ビビッ・・・" とリングが断続的に出す微弱な動作音だけが響いていた。 『ピピ・・・ようこそ、"アルゲンハイム" へ。私は転移者向けの受付AIです。五分後に "始まりの森" への転送を開始します。ご質問があればどうぞ』 すると突然、頭上から機械音声が聞こえてきた。しかし上を見上げても、何も無い白い空間が広がっているだけだ。
「え、え・・・あのっ・・・?」
リリナは何が起きたのか分からず、すっかりパニック状態だ。これは夢なのだろうか?しかし、相変わらずリングから自分の弱点に与え続けられているこの甘い刺激は、やはり現実のものとしか思えない。混乱した頭でリリナはしゃがんだまま上を見上げ、声のする方向へ向かって質問を投げかける。 「あ、その、私はなぜここに・・・。というより、えぇと、ここは・・・どこでしょうか?」
『ピピ・・・ここは "アルゲンハイム" の亜空間。あなたの元いた世界から見れば異世界となります。あなたの "世界から消えたい" という強い願いを検知し、こちらへと転移させていただきました』 「えぇっ、まさか・・・そんなこと・・・」
異世界・・・?にわかには信じられないが、この不思議な空間について説明が付く他の理由が見当たらない。本当に異世界に来てしまったのだろうか。確かにあの場ではあまりの羞恥に "消えてしまいたい" と願ったものの、早く買い物を済ませてご主人様の元へ戻らなくては、また罰を与えられてしまう。 「あっ、あのっ・・・お願いです、元の世界に戻してください!早く帰らないといけなくて・・・」
『ピピ・・・元の世界に戻るには、ジョブ "テレポーター" の保有スキル "次元転移" が必要になります。そちらの人物へご依頼ください』 ジョブ?スキル?テレポーター・・・?一気に知らない単語を並べ立てられ、一層頭がこんがらがるリリナ。理解が追いつかないリリナをよそに、さらにAIは説明を続ける。
『ピピ・・・また、元の世界とこちらの世界の時間軸は独立しています。元の世界へと戻った場合、こちらの世界での時間経過に関わらず、元の世界から転移した日の起床時点へと戻ります』 「えっ・・・ということは、今日の朝に戻れるということ・・・?」
『ピピ・・・その通りです』 今朝の時点に戻れるのであれば、ご主人様からの追加の買い出し指示にもあらかじめ対処できるようになるし、何より群衆にバイブ挿入歩行がバレていない状態に戻れるということである。リリナにとっては願ってもない内容だ。焦る必要が無いことが分かり、少し安心するリリナ。 「そ、それで、あのっ・・・先ほどの、"ジョブ" と "スキル" ・・・でしたでしょうか?それは一体・・・?」
『ピピ・・・"ジョブ" とは、この世界で誰もが一つずつ持っている適性のことです。この世界に誕生、もしくは転移したタイミングで、その人物の才能に最も適したジョブが自動的に割り当てられます。"スキル" とは、ジョブごとに異なる特殊技能のことです。レベルを上げることで、新たなスキルを身に着けることも可能です。あなたのステータスはこちらでご確認ください』 そう説明された直後、リリナの目の前の何もない空間に、大きなディスプレイのようなものが映し出される。そこには、以下のように表示されていた。 ■ 名前 : リリナ
■ ジョブ : エロメイド(レア度S) ■ 可能装備 : メイド装飾品、淫具 ■ 初期レベル : 1(最大99) ■ 初期スキル : テンプテーション ■ 初期装備 : メイドカチューシャ、メイドオーバーニーソックス、メイドハイヒール また名前表示の横には、しゃがみ込んでいる現在のリリナの姿が、鏡のように映し出されている。これまで気付かなかったが、頭にはメイド用の可愛らしい白黒のカチューシャが取り付けられていた。また足元を良く見ると、先ほどまで街中で履いていたものでは無く、黒のフリル付きのオーバーニーソックスとハイヒールを履いていることに気付く。全裸に靴とカチューシャのみ、という扇情的な姿をしていることが分かり、より顔を赤らめるリリナ。 『ピピ・・・あなたのジョブは、体を使って相手を魅了することに長けた "エロメイド" です。保有スキル "テンプテーション" は、体液を取り込んだ相手を、一時間だけ魅了し下僕にする効果があります』 「えっ、エロ・・・メイド・・・?それに、下僕・・・って・・・?」 『ピピ・・・ジョブの横に補記された "レア度" とは、この世界に同様のジョブを保有する人物の数と関係しています。"E"~"A" 及び、"A" よりも上位の "S"、合わせて六段階で表現されます。"S" の場合は非常に希少で、現時点でこの世界に一名しか存在しないということとなります。なお、先ほどご説明した "テレポーター" のレア度はAになります。こちらは世界に三十名ほど存在しています』 何が何やら分からないが、とにかく元の世界に戻るには、その "テレポーター" というジョブの人物に会う必要があるということは分かった。"テレポーター" の居場所を確認したいところだが、まずは服装を何とかしたいリリナ。 「そ、その・・・何か、普通の洋服が欲しいのですが・・・」
『ピピ・・・ジョブ "エロメイド" が装備可能なのは、"メイド装飾品" と "淫具" のみとなります。必要な初期装備はこの世界に転移したタイミングで与えられています。また、元の世界から持ち込めるのは装備可能品のみで、それ以外は消去されています』 「えぇっ・・・これで、全部ってこと・・・?」 カチューシャにハイヒール、オーバーニーソックスだけが、"エロメイド" の初期装備ということのようだ。また、乳首とクリトリスに取り付けられたリングは "淫具" と認められたためそのまま元の世界から持ち込めたが、それ以外の衣服は装備不可能品として消去されてしまったらしい。ミニスカート生地付きバイブも "淫具" に当たるはずだが、この世界に転移する時点では脱げてしまっていたので、持ち込めなかったのだろう。 『ピピ・・・五分が経過しました。質問受付を終了し、"始まりの森" への転送を開始します』 「えぇっ!ちょ、ちょっと待って・・・!」 直後に空間全体がまばゆく光り、思わず目を瞑ってしまうリリナ。数秒してからおそるおそる目を開けると、そこは木々に囲まれた森の中であった。 |
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